不動産投資を成功させる管理会社の選び方
管理会社を選ぶポイント4つとトラブルの事例、避けたほうが良い業者、管理費の相場、内容など…
2022年8月6日更新
「不動産投資は節税になる」「節税効果が高い」という不動産会社の謳い文句を見かけたことはありませんか?
節税対策の1つとして不動産投資をすすめる不動産会社は多く、所得が多い投資家によっては節税効果が大きい事例もあります。
ただし節税目的の不動産投資には思わぬ落とし穴やリスクがあります。
この記事では「不動産投資は節税効果がある」と言われる仕組み、なぜ所得が高いと節税になるのか、高所得者にとっての不動産投資のメリット・デメリットをお伝えしていきます。
不動産投資は節税になる、節税効果があると言われますが、本当なのでしょうか?なぜ節税になるのでしょうか?
不動産投資で節税できる可能性があるのは所得税・住民税・相続税となります。不動産投資が節税となる理由や仕組み、どの位節税効果があるのかを見ていきましょう。
所得とは収入から経費を差し引いた額で、所得税は所得が多ければ多いほど税率が高くなる累進課税となっています。
所得が4千万円以上の方は45%と税率が高くなっており、例えば所得が5千万円の方は(50,000,000円×45%-4,796,000円=17,704,000円)、1千7百万円の所得税を納める計算結果となっています。
不動産投資での所得(収入-経費)は「不動産所得」となりますが、不動産所得で損失が生じた場合、損益通算を行い他の所得から差し引くことが出来ます。
「損益通算」とは各種所得金額の計算で生じた損失のうち一定のものを、他の所得金額と相殺できる仕組みです。
「損失が出るなら意味が無いのでは?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、不動産所得の計算では、実際には金銭は支払われなくとも帳簿上経費として計上できる「減価償却費」があります。
減価償却費は建物の経年劣化による価値喪失額を、「法定耐用年数」以内で経費として計上することができるものです。
法定耐用年数とは法律で定められた建物が使用に耐えられる年数を指し、木造の居住用建物は22年、鉄骨鉄筋コンクリート造又は鉄筋コンクリート造の居住用建物は47年となっています。
中古不動産であれば、「(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%」という計算式により耐用年数を計算しますので、新築不動産よりも耐用年数が短くなり、より多くの経費を計上することができる場合があります。
減価償却費を計上できる期間内には所得から控除できますので、税金の対象となる所得が少なくなり税金が節約できる仕組みとなっています。
なお節税効果が高い所得の基準は「900万円」です。上記の表のとおり900万円を超えると税率が33%となり売却時の譲渡税率との差がより大きくなるため節税効果も高くなります。
収入の目安としては1200万円程度となりますので、年収1200万円を超える方は不動産投資で節税できる可能性が高くなります。
住民税の税率は一律10%となりますが、所得税と同様に所得金額に対して課税されますので、所得税が節約できる場合、共に税金の負担が少なくなる可能性が高いです。
相続税は相続の際にそれぞれの財産に対して一定の「評価額」があり、評価額を元に税金を計算します。
例えば預金は定期預金の場合「預け入れ残高+利子-源泉徴収額」、普通預金は相続日の預け入れ残高が評価額となります。
不動産の場合、建物は「固定資産税評価額」で評価され、土地は原則として、時価の約8割程度の路線価方式(一部地域は固定資産税評価額を基に計算する倍率方式)で評価されます。
賃貸用不動産の場合には建物は3割、土地は約2割の減額があり、さらに一定の条件を満たした賃貸事業・居住用の土地には「小規模宅地等の特例」が適用され、評価額から50~80%となります。
例えば1億円の財産を土地6000万円、建物4000万円(ともに時価)の不動産に換えた場合、以下のように評価されます。
1億円の約52%、5200万円まで評価額を圧縮できました
現金を不動産に換えるだけでも評価額が2~3割程度減額されますので節税効果がありますが、「小規模宅地等の特例」による50%の減額効果は非常に大きく、賃貸経営である不動産投資は節税効果が高い事が分かります。
ここまで不動産投資の節税の仕組みと効果について解説してきましたが、節税のみを目的とした不動産投資には注意が必要となります。
不動産投資は不動産を購入し第三者に貸し出す「賃貸経営」であり、20年・30年と息の長い事業となります。
節税のみを目的として不動産投資を始めると、キャッシュフロー(手元に残るお金)が赤字となり損をしてしまう、不動産投資のデメリットを知らず「こんなはずではなかった」と後悔する失敗事例が多く見られます。
不動産投資を始める際はメリット・デメリット、リスクを理解した上でスタートしましょう。
参照記事:不動産投資はやめとけと言われる理由と本当にやらない方がいい人の特徴
また不動産投資における節税では、高所得者にとってメリットが大きい事が特徴であり、収入が低い場合は節税効果の恩恵を享受できない可能性があります。
節税効果の高い所得900万円・年収1200万円程度に満たない方は、別の方法を検討する又は不動産投資で収入を伸ばす方向をおすすめします。
高所得者にとって不動産投資は節税以外のメリットも存在します。詳しく見ていきましょう。
高所得者にとっては投資用ローンで優遇される、市場には出回らない優良物件を紹介されるなど「高所得者ならでは」のメリットがあります。
高所得者は投資用ローンの審査を受ける際、金融機関からの評価が高いです。
そのため初めて不動産投資を行う場合でも、金利を優遇される、大規模な融資を受けられることがあり有利な条件で物件を購入できる事例があります。
ローンの金利が低いと総返済額が少なくなります。また大規模な融資を受けられることで、マンション一棟投資といった資産価値の高い物件の運営が可能となります。
金融機関は物件の収益性や資産価値に加え、融資申込者の「返済能力」を審査します。
高所得者は返済能力が高く、金融機関にとっては融資した資金を回収できる可能性が高いため有利な条件で借入できることがあります。
不動産会社では後々顧客が返済に困らないよう、個人の返済能力も考慮に入れ物件を紹介します。
そのため購入価格の高い物件は、返済能力の高い高所得者に紹介するケースが多いです。
購入価格の高い都心の築浅マンション・タワーマンションは、安定した需要があり資産としての価値も高い傾向にあります。
高所得者は資産価値が高い物件を紹介して貰える可能性が高くなり、不動産投資で有利となります。
不動産投資で節税ができる理由や仕組み、高所得者にとっての不動産投資のメリットを解説してきました。
所得が900万円以上(年収で言うとおおよそ1200万円以上)の方は不動産投資で節税できる可能性が高く、ローンで優遇される・優良物件を紹介してもらえることがあります。
ただし節税のみを目的として不動産投資を行い、後悔する方もいらっしゃいますので賃貸経営のメリット・デメリットをよく理解しておきましょう。
この記事を参考に、まずは不動産会社に話を聞きに行く、セミナーに参加してみるなど行動に移してみることをおすすめします。
【関連記事】#節税
●不動産投資はサラリーマンの節税対策になる?節税向きの物件や仕組みについて解説
●不動産投資は節税にならない?高所得者にとっての不動産投資とのメリットとは
●不動産投資が節税になるって本当?仕組みと失敗例を解説
人物
氏名
小川 進一
保有資格
・(公認)不動産コンサルティングマスター
・相続対策専門士
・不動産エバリュエーション専門士
・宅地建物取引士
・賃貸不動産経営管理士
・定期借地借家プランナー
プロフィール
不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
自身も都内に複数所有している実践大家。