マンション投資基礎知識

ワンルームマンション投資失敗の理由

ワンルームマンション投資は、不動産投資の代名詞になりつつあります。

現在、新築、中古を問わずワンルームマンションのマーケットは活発で、不動産投資をされる方のなかでもワンルーム投資を実践している方が多いのではないでしょうか。
賃貸の業務や確定申告など不動産保有時のサポートはもちろん金融機関と提携した自己資金ゼロプランなど、手軽に簡単に始められるサービスが充実していることが増加の要因です。

しかしながら、手軽に始められるがゆえに想定しなければならないリスクが軽んじられ失敗してしまったという相談が多くなっているのも事実です。

なぜワンルームマンション投資で失敗してしまうケースがあるのか、その原因を中古、新築分けて説明したいと思います。

ワンルームマンション投資失敗の理由:中古編

なぜワンルームマンションに投資をするのか?

その目的は年金対策、節税、生命保険など目的は様々だと思いますが、ワンルームマンションが利益を生み出す構造は、購入したワンルームマンションを賃貸し、入居者から家賃収入を得る、そのように説明されることが多いと思います。

そのため、マンション投資は毎月の収入と支出のバランスばかりがクローズアップされ、購入した不動産の資産価値が減価していくことは、不都合な真実として隠されている感があります。

ワンルームマンション投資だけではなく不動産投資は長期の投資、キャッシュフローを効かせてローンの繰上げ返済しながら資産を増やすというプランが一般的であります。

しかし、上でも述べましたが不動産は減価する資産、つまり購入金額よりも売却金額のほうが少なくなってしまう可能性があり、投資としての損益が確定するのは物件を売却したときだという視点は必ず持っていなければなりません。

では、どのように損益を判断すべきか見ていきます。

ワンルームマンション投資の利回りとは

たとえば、1,500万円で購入した中古ワンルームを表面利回り5%で5年運用すると、1,500万x5%=75万円x5年=375万円の利益が出たことになります。 

不動産投資における利回りは物件の年間家賃収入を購入価格で割って算出しますので、入居者がいる限り利益が出ているように感じると思います。

しかし、この計算式は物件の価格が維持されることが前提となっています。つまり購入金額と同じ1,500万円で売却し元金を回収できて始めて年間5%の利益375万円があったことを意味します。

投資向け中古ワンルームマンションは購入した価格で売却できるか

中古ワンルームマンションの場合、自分で住むために購入されることは稀で、購入層も売却層も、ほぼ100%利益を得ることを目的とした不動産投資家です。
ワンルームマンションのマーケットは不動産投資のプロがうごめくマーケットだという認識は、意外と見落とされがちですがとても重要です。

たとえば、5年前に現オーナーが1,500万円で購入して5年間で375万円の運用益を上げた中古ワンルームマンションを、あなたなら同じ1,500万円で購入しようと思うでしょうか?
例外はあるかもしれませんが、このマーケットで勝負をするプレイヤーは、みな同じように投資視点で価格の妥当性を考えています。

実際のところ、中古ワンルームのマーケットでは、投資家の不動産を見る眼は厳しいので、経年劣化による家賃相場や資産価値の下落率は必要以上に評価され、購入した金額で売却できるケースはまずありません。

中古ワンルームマンションの流動性が極めて低いのは、オーナーが手放してもよいと思う金額で折り合わないことが多いからなのです。

単純計算で資産の下落率が1.5%程度で見積もったとしても、売却可能価格は1,388万円、つまりその時点で112万円の売却損が発生します。

1,388万円で売却したとしたら、利回りはどうなるでしょう。375万円の運用益から、112万円の売却損を引くと利益は263万円、結果的に年間あたりの投資利回りは3.6%に修正されることなります。

購入した価格で売却できる中古ワンルームマンションは存在しない

売却時にある程度の売却損がでてしまう現実を覆い隠すように、中古のワンルーム投資の世界では、「持ち続けるということ」が合言葉になっています。たとえばネット利回り5%で回っているのであれば、20年で元本を回収し、それ以降が安定収入になるというプランです。

計算上では、購入金額が1,500万円のワンルームマンションは、ネット利回り5%(=75万円)で20年運用すれば、元金は回収できます。

しかし、20年後に1,500万円で売却できることはありません。

投資である以上収支は出口、長期保有し続けることを前提にするのは危険

中古ワンルームマンション投資の場合、築年数別に分散投資することが多いですが、上記の例としてシミュレーションした1,500万前後の価格帯の比較的新しい中古ワンルームでも、築年数で言えば購入時で10年前後は経っています。ローンの返済が完了し、無借金になって、これから安定収入が得られると思っても、そのときそのワンルームマンションは築30~40年のものになります。

30~40年間所有し続けることができれば元金を回収できることもあります。しかし、実際に売らなければならない状況になって、売るに売れずに失敗したと思って相談に見える方が多いのも事実です。売却にまつわる相談は最も多い相談です。

出口戦略と資産の組み換えを意識した投資マンション購入

一般的に、不動産投資において物件の購入・売却の機会は他の金融商品と比較すると多くはありません。しかし、私たちが多くのお客様と接してきた経験では、多かれ少なかれ必ず、現金が必要になった、資産の組み換えを考えたいなど様々な理由で売却を考えなければならない時期がやってきます。

不動産投資は長期の投資であるのは間違いありません。投資マンションを保有し毎月家賃が入金されている限り成功していると思うものです。

しかし、お客様が購入を検討している中古ワンルームマンションを、もし10年後に売却するならいくらで売却できるのか理解しておくことは本当に大事なことなのです。

中古ワンルームマンション投資で失敗しないためには

投資において重要なことは再現性です。再現性が低い投資は、投資ではなくギャンブルです。
近年、中古ワンルームマンション投資が流行になっておりますが、中古ワンルームマンションの販売会社の営業は投資のプロではなく自社の仕入れた商品をパッケージ化して販売するセールスのプロです。
近年の不動産の相場では、現時点では、たまたま収支があっている場合もありますが、長期的に維持されるものなのかは、ご自身が投資家として判断する必要があります。

投資不動産の借入金利の相場からすると条件が良く、また少ない自己資金で始められる中古ワンルームマンション投資は、あくまで特殊な状況下での取引で、マーケットでの売買価格の評価は大きな乖離があるケースが多いです。不動産投資の第一歩を中古ワンルームマンションから始めるのは、投資のプロから見ると本当に危険です。
不動産投資は長期投資でありますが、一つの物件を30年40年持ち続ける前提で考えるのではなく、短期間で入れ替えることが可能なのかどうかはポートフォリオを考えるうえで最も重要な視点です。
失敗しないためには不動産を相対的に評価することです。

ワンルームマンション投資失敗の理由:新築編

ワンルームマンションの建築に関する規制、条例が強化されてきたとはいっても、いまだ新築ワンルームマンション開発は活発です。

都心の一極集中が緩和されつつある現在でも、新入生や新社会人の地方からの流入が定期的に見込めるので、東京都心のワンルームマンションの需要がなくなることはないでしょう。さらに、東京23区では最低占有面積の規制でデベロッパーによるワンルームマンションの開発・供給は減少しつつあり、都心のワンルームマンションはエリアが持つブランド力だけで競争力を高めることができる傾向にあります。投資マンションを買うなら東京を買えと言って間違いはないでしょう。

マンションの耐震偽装が社会問題化し、法規制が整備されて以降に建造されたワンルームマンションは安心感もあり、まさに新築ワンルームマンションに投資するのは理に適ったものと思われる方が多いと思います。
また、新築ワンルームマンション投資はサラリーマンの方であればフルローンで持ち出しなしというシミュレーションも見受けられるのは魅力的に感じられると思います。

新築ワンルームマンションの相場

現在、首都圏では新築ワンルームマンションは20m²超で2,500万円前後が売買相場です。2,500万円の首都圏の新築ワンルームマンションが高いと感じるか安いと感じるかは個人差があると思いますが、同エリアでの中古のマンション市場では、2,500万円というと築10年くらいであれば40m² 2DK 程度のマンションを購入することができる金額です。

新築マンションも登記されてしまえば市場での評価は中古の扱いとなってしまうことを忘れてはなりません。ワンルームマンションの場合は、たとえ築2,3年であっても分譲価格2,500万円のマンションが2,000万円弱で取引されているのが実情です。これは新築ワンルームマンションが不動産マーケットに流通した瞬間に分譲時の70%程度の評価しかされないことをあらわしています。

新築ワンルームマンションの価格は誰が決めるのか

新築ワンルームマンションの価格は基本的には土地代、工事費、諸経費に基づいて価格が算出されますが、それとは別に、その新築で建てられたワンルームマンションの一室に特定の金融機関がどれだけ融資できるかというその金額がそのまま価格に反映されているように思えます。新築ワンルームマンションのデベロッパ系のマンション投資会社は「頭金0円フルローンでワンルームマンション投資ができます」というセールストークを繰り広げることができるのもそのためです。

一方、中古マンションは、近隣の同じタイプのマンションの取引相場と比較、もしくは、利回り(収益)、すなわちどれだけの家賃収入が得られるかによって価格が決定されます。つまり、実需目的でも投資目的でも、マンションは中古として市場に出回った時点で相場、すなわち市場価格で評価されるのです。

新築ワンルームマンションの価格は基本的には土地代、工事費、諸経費に基づいて価格が算出されますが、それとは別に、その新築で建てられたワンルームマンションの一室に特定の金融機関がどれだけ融資できるかというその金額がそのまま価格に反映されているように思えます。新築ワンルームマンションのデベロッパ系のマンション投資会社は「頭金0円フルローンでワンルームマンション投資ができます」というセールストークを繰り広げることができるのもそのためです。

一方、中古マンションは、近隣の同じタイプのマンションの取引相場と比較、もしくは、利回り(収益)、すなわちどれだけの家賃収入が得られるかによって価格が決定されます。つまり、実需目的でも投資目的でも、マンションは中古として市場に出回った時点で相場、すなわち市場価格で評価されるのです。

投資対象としての新築ワンルームマンションのメリット・デメリット

新築ワンルームマンションは確かに頭金は0円に近い金額で、そして最初は悪くても月に1万円程度の持ち出しで投資をすることができます。

また、新築というだけで魅力的なものであるのも間違いありません。

しかし、ご自分の居住スペースとして使用するのでなければ固執する要素ではありません。マンション投資に限って言えば、新築というプレミアム価値は一番初めの入居者だけが享受できるものでしかなく、そのときは相場より高い賃料を計算できますが、それ以降は中古の家賃相場に合わせないと入居者を確保することは容易ではありません。賃料を下げずに募集することもできますが、入居者が決まらなければ確実に利回りは低下してしまいます。

マンション投資は長期的な投資です。たとえ新築ワンルームマンションに投資をしても、ローンが払い終わる30年後に残るのは築30年の中古ワンルームマンションであることを忘れてはなりません。

長期であるが故のリスク、たとえば、所有している部屋の近くに同じタイプのマンションが建つだけでも家賃が下落するのは免れません。ワンルームマンションはファミリータイプと比べると供給数が多くなりますので、それだけでも競争が激しいものです。ちょっと広めの中古マンションで幅広い入居者をカバーできるほうが結果として利回りは高くなりますし、たとえば10年おきに築15年のマンションに買い替えれば築25年以下のマンションを持ち続けることが出来ます。

ワンルームマンション投資のよくある失敗相談事例

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CASE1: 節税効果は最初だけ・・・

ワンルームマンションに投資するということは、個人であっても一つの事業ですので、マンションを貸すことで得られた収入は課税対象となります。当然、その収入は利益として申告する必要がありますが、家賃収入をそのまま計上するのではなく、建物の減価償却分や借入金利を経費として引くことができるので結果として税金対策になるという説明が多いようです。

しかし、本当に節税の恩恵を受けることができるのは、新築ワンルームマンションであっても設備を短期で経費にできる最初の数年だけで、節税のはずが管理費・修繕積立金や不動産の固定資産税と都市計画税など実際にかかる経費の負担のほうが大きくなってきます。長期にわたる節税効果をメリットとして説明された場合は要注意です。

CASE2: 売るに売れない・・・

デベロッパーが手がけるマンション投資プランは、ほとんどが新築ワンルームマンションです。衛星都市の開発が進み、都心の一極集中が緩和しつつある現在でも、独身男女の地方からの流入が定期的に見込めるワンルームマンションの需要がなくなることはないでしょう。また、マンションの耐震偽装が社会問題化し、法規制が整備されて以降に建造された物件は安心感もあり、まさに新築ワンルームマンションに投資するのは理に適った選択だと思われる方が多いと思います。

しかし、新築ワンルームマンションは、もし売却しなければならなくなった場合、その価値はどんなに築浅の物件であっても、分譲時の70%程度にしかならないケースが多いのです。経済的なゆとりがなく、長期的な運用が可能であると判断できない場合はオススメできません。

CASE3: 入居者が決まらず利回り低下・・・

札幌や福岡など、地方の中央都市では、賃料の相場からするとマンションの価格が安く、収益還元法で算出された利回りが高いケースがあります。利回りは想定した賃料で入居者が獲得できたときに確定するものなので、地方都市でマンション投資をする場合は、家賃相場や立地条件などから、マンションの需要と供給のバランスが取れているかどうか調査する必要があります。

たとえ、家賃滞納保証やサブリースなどの契約を地元の業者としていたとしても、契約は賃借人ごとまたは定期的に更新されるため、契約内容の変更や契約解除がないとも限りません。もし、賃貸管理行を業者に任せていなければ、現地まで足を運び入居者募集やトラブル対応をすべてご自身で行わなければなりません。


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監修者プロフィール

  • 人物

    小川 進一

  • 氏名

    小川 進一

  • 保有資格

    • ・(公認)不動産コンサルティングマスター

    • ・相続対策専門士

    • ・不動産エバリュエーション専門士

    • ・宅地建物取引士

    • ・賃貸不動産経営管理士

    • ・定期借地借家プランナー

  • プロフィール

    不動産一筋35年!成約件数述べ5,000件以上。
    自身も都内に複数所有している実践大家。