本に学ぶマンション投資

No1エコノミストが書いた世界一わかりやすい金利の本

No1エコノミストが書いた世界一わかりやすい金利の本

上野 泰也 (著)

2018年4月4日発行

金利は人々の生活と密接に関係している指標の1つです。しかし、金利の種類や正確な特徴というと、いまいちわからないという人も多いのではないでしょうか。

金利は教育ローンや住宅ローンなどに加え、不動産投資ローンにも関係があります。金利に関する知識は、不動産投資を有利に進めるためには有効です。この記事では、そもそも金利とは何なのか、金利はどのような仕組みに基づいて決まっているのかを解説します。

そもそも金利とは

始めに、複数ある金利の種類や金利の上下動を読み解く指標の1つについて解説します。

金利には4種類の指標がある

まず、世の中にはさまざまな金利がありますが、金利を理解するためにはまず大きく2つの金利を認識することが必要です。

1つ目及び2つ目は住宅ローンやカードローンなど、お金を借りたときに支払う金利です。金利は利率と言われることもあり、借りた額に対する割合で「~%」と表現されます。

なお、借りた金額を指す言葉は「元金」と「元本」の2種類があり、似たような意味を持つものの性質は異なっています。元金は住宅ローンなどによって借りた金額のことを指し、元本は不動産や金融商品に投資した金額のことを指します。

3つ目及び4つ目は利息と利子です。これらは元本に利率を乗じて算出される金額のことを指します。預金の場合は利息、債権の場合は利子を用いるのが一般的です。

固定金利と変動金利

金融機関が提供しているローンには、固定金利の商品と変動金利の商品とがあります。どちらを選ぶかによって返済期間中に支払う金利の総額が大きく変わるため、固定金利と変動金利の違いを把握することは重要です。

固定金利の場合は、返済期間中に金利がまったく変わりません。例えば預入期間5年で固定金利3%の定期預金を利用した場合は、満期の5年後まで変わりなく金利が3%となります。

一方で、変動金利は一定期間ごとに金利の見直しが入ります。見直し時期は金融機関との契約時に金融機関側が設定しており、1年ごと・3年ごと・5年ごとなど様々です。変動金利の上下動は世の中全般の金利に左右されます。

世の中の金利が上昇傾向にあれば変動金利も上がり、下降傾向にあれば変動金利も下がるといった具合です。

住宅ローンや不動産投資ローンを利用する場合に、金利は変動金利と固定金利のどちらが良いのか悩む人も多いのではないでしょうか。理屈はシンプルで、今後金利が上がりそうなときは固定金利の方が有利であり、今後金利が下がりそうなときは変動金利の方が有利です。

金利の上下動はどうやって読む?

固定金利と変動金利の有利不利について解説しましたが、今後の金利はどうやって予測すればよいのかと思った人もいるのではないでしょうか。金利は様々な要因によって上下動するため、簡単に予測できるものではありません。

しかし、アメリカの金融政策をチェックするのは、未来の金利動向を予測する方法の1つとして有効です。世界各国には中央銀行があり、中央銀行は自国の金利や金融システムを安定させるべく金融政策を決めています。

日本の中央銀行は「日本銀行(=日銀)」であり、アメリカの中央銀行は「FRB」です。FRBはアメリカにとどまらず世界の中央銀行とも言えるほどに大きな影響力を持っています。世界経済はアメリカを中心として回っているため、アメリカの金融政策は世界中の経済に影響を及ぼします。

例えば2008年9月にはアメリカで「リーマンショック」という金融危機が発生しています。リーマンブラザーズはアメリカ国内でも大手の投資銀行グループでしたが、リーマンブラザーズが経営破綻したことでアメリカを中心としてお金の流れが止まり、結果的に世界各国の景気が急激に悪化しました。

リーマンショックにおいて景気が悪化したのは日本も例外ではありません。リーマンショックを受けて、アメリカを中心とした先進諸国の中央銀行はそろって利下げに踏み切っており、日本銀行も後を追う形で利下げしています。

FRBの方針は日本でもニュースになるため、FRBの動向に目を光らせておくのも金利動向を予測するための1つの方法です。

経済が金利を動かす仕組み

日本国内の各金融機関が決めている金利は、日本経済の動向と関係しています。特に住宅ローンや不動産投資ローンに関連のある長期金利が、経済とどのように関係しているのかを解説します。

長期金利の決まり方

住宅ローン金利や不動産投資ローンの金利に関係しているのは長期金利です。長期金利は日本銀行の金融政策による影響も受けるものの、それ以上に将来の経済見通しに左右される傾向が強くなっています。

そもそも、長期金利の動向は日本銀行が発行している10年もの国債の金利とほぼイコールです。10年もの国債の金利が上がれば、各金融機関の住宅ローン金利や不動産投資ローンの金利も上がります。

10年もの国債の金利と各金融機関のローン金利が連動している理由は、各金融機関は預金者から預かった現金で10年もの国債を購入するなどして運用しているからです。

新しく発行された10年もの国債が良く売れていると国債の価格が上がるため、国債そのものの利回りが低下します。結果的に金融機関の長期金利も低下します。

一方で、新発の10年もの国債がなかなか売れずに価格が下落した結果、国債の利回りが上がった場合は金融機関の長期金利も上がります。

長期金利は経済成長率及び景気循環と連動している

長期金利の動向を長期間に渡って検証すると、長期金利は経済成長と密接な関係にあることがわかります。経済成長の目安となる指標は「GDP成長率」です。

まず、GDPとは、一定期間内に日本国内で新たにつくられたモノやサービスの付加価値を合計した金額を指しており、国の経済規模を図るときの指標として用いられます。GDPが大きくなるほどモノの価値やサービスの付加価値が上がっていることを指すため、経済は上向きであると判断可能です。

GDP成長率とは、GDPが前年より増えたか減ったかを判断するための経済指標として利用できます。

GDP成長率が上がるということは物価が上がるということを意味しています。GDP成長率が高い国では物価が上がっていくため、多くの企業や人は値上がりする前にモノを買っておこうとする動きを見せ、銀行からの借入額が増えるのが特徴的です。銀行からの借入額が増えるとお金の需要が拡大し、金利は上昇します。

一方で、GDP成長率が下がる(=物価が下がる)気配があるときは、誰もが値下がりしてからモノを買おうとするため、今はお金を貯めておこうとする動きを見せるのが特徴的です。

結果的にモノやサービスが売れなくなるため、企業の収益が減って生産や設備投資などにブレーキがかかります。必然的に銀行からの借入は減ることでお金の需要が縮小し、金利は低下していきます。

とても簡単に言うと、景気が良いときは金利上昇の傾向が強く、景気が良くないときは金利も下がる傾向が強くなります。

まとめ

例えば不動産投資においては、ローンの利用を前提とすると、金利が低いときは利益を出しやすくなります。一方で高金利の時には経費が増えて利益を出しにくくなるため要注意です。

ローンの金利を左右する長期金利の動向については、正確な予測は困難であるものの、仕組みについて理解することで大まかな傾向を把握することは可能になります。日頃から日本銀行の方針やGDP成長率など、経済の動向を把握しておくのがおすすめです。


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2018年4月4日発行